映画解説

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強力おすすめ

タイトル マイ・ファーザー
韓国公開年 2007年
出演者 ダニエル・ヘニー キム・ヨンチョル キム・イングォン アン・ソックァン
監督 ファン・ドンヒョク

【 映画紹介 】

『マイ・ファーザー』は、アメリカに養子に行った青年が22年ぶりに父親と再会した実話を基に描いた感動のヒューマン・ドラマです。

幼いころアメリカに養子に出された青年は、優しい養父母の元で育ち、成長して実の両親を探すために韓国に駐在するアメリカ軍に志願して、ついに父親と対面を果たします。でも、その父親は死刑囚でした。刑務所で対面した父と息子はその後も面会を重ねるのですが、そのうちにさまざまな事実が青年に突きつけられるのでした。

この、ドラマチックな話は、実話がもとになっています。この話が2003年にテレビのドキュメンタリー番組で紹介され、興味をもった制作会社が、このドキュメンタリーの本人アーロン・ベイツの同意を得て、更なる周辺取材を重ねて映画化されました。

この作品が長編デビュー作となるファン・ドンヒョク監督は、自らのおばさまがやはり養子だったそうで、アメリカでの大学の卒業制作作品で既に海外養子の韓国青年を描いており、かねてから養子問題には深い関心があったといいます。お涙頂戴になりがちな題材を節制した演出で見せ、それがかえって心揺さぶる感動を誘います。

主演は、『私の名前はキム・サムスン』『春のワルツ』のダニエル・へニー。彼の母親もやはり海外に養子に出された経験があり、ハーフでもある彼だからこそ、なしえた役ともいえます。その演技は大鐘賞、青龍賞など主要な映画賞で新人男優賞を総なめにしました。

死刑囚の父親を演じているのは、『甘い人生』などのキム・ヨンチョル。凄みと哀れさが同居する難しい役どころを熱演し、春史大賞映画祭で助演男優賞を獲得しています。

tashiro

最後に、2003年にテレビで放送されたときのアーロン・ベイツ青年のドキュメンタリー映像が流れましたが、本当に、事実は小説よりも奇なりですね。でも映画はドキュメンタリーと基本的な枠組みは同じですが、それ以外のセリフや設定にはフィクションを盛り込んでいますので、全てが実際と同じではないということです。
それにしても、父親が実の父ではなかったとわかった後でも家族として受け入れられるのも、彼自身が養子として血のつながらない両親から大きな愛を受けて育てられたからなんでしょうね。監督も、そして実際のアーロン青年も、この映画を見て、養子に対して保守的な韓国で、養子の問題を考えて欲しいという気持ちが強くあったそうです。