韓流ソムリエ 田代親世の韓国エンタメナビゲート

『ひまわり』は、家族愛に触れ、人生を生き直そうとした男がたどる、優しく悲しい、ヒューマンドラマです。

世の中を知らず、怖いもの知らずに生きていたときに人を殺してしまった男。昔は、誰からも恐れられる狂犬のようだった男も、「２度と酒を飲まない、２度とけんかをしない、２度と泣かない」と自分への誓いの言葉と、素朴でささやかな希望を綴った小さなノートを大事そうに持って、出所します。

１０年間の刑務所暮らしを経て出所した彼が訪れたのは、自分を養子として引き取ってくれるという、ひまわり食堂の女将のところでした。自分を暖かく迎え入れてくれた新しい母親と可愛い妹。男は始めて味わう家族の情を感じながら、生きることに希望を見い出し、穏やかに暮らしていきます。そこに街の再開発を巡って黒い影がうごめいていき、彼も、彼の家族も巻き込まれていくのでした。

『ホン班長』のカン・ソッポム監督の作品です。

この主人公を、キム・レウォンが並々ならぬ思い入れで演じていて、荒々しく生きていたときの虚無的な姿、自分に示される愛情に不器用ながらもこたえようとしていく無骨な優しさ、そして愛を知ったあとの深い悲しみの眼差しなど、熱演しています。この年初めて行われた大韓民国映画演技大賞で、観客の投票によってアクション演技賞を受賞しました。

キム・ヘスクが慈愛に満ちた母親役に扮し、『宮Ｓ』のホ・イジェが明るく場を和ませる妹役で、『宮廷女官チャングムの誓い』のパク・ウネがポイント的に登場します。