映画解説

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タイトル チャンピオン
韓国公開年 2002年
出演者 ユ・オソン チェ・ミンソ ユン・スンウォン チョン・ドゥホン
監督 クァク・ギョンテク

【 映画紹介 】

『チャンピオン』は、その名の通り、世界チャンピオンに挑み、激闘の末亡くなった実在のボクサー、キム・ドゥックの短い生涯をノスタルジックに描いた人間ドラマです。

1982年の11月、ラスベガスで行われたWBAライト級世界タイトルマッチで世界チャンピオンに挑戦した一人の韓国人ボクサーがいました。彼の名はキム・ドゥック。善戦したものの倒され、意識を失って帰らぬ人となりましたが、彼の名前は伝説となりました。

そんな彼の生涯を映画化しようと思い立ったのが、『友へチング』で大成功を収めたクァク・ギョンテク監督です。この試合は韓国のテレビでも放送されたのですが、当時監督は17歳だったそうですが、この試合の光景を月日がたっても忘れられず、この人物の生涯を映画にしなくてはという強い思いに駆られたそうです。

小さな海沿いの村に生まれ、貧しいどん底の人生から這い上がるには力しかないと悟り、拳にすべてをかけていくキム・ドゥックのひたむきな青春時代、師匠とも言えるボクシングジムの館長や仲間との交流、恋人との幸せな日々などを描きながら、一生懸命に生きようとした一人の男の姿が鮮烈に映し出されています。『友へチング』もそうでしたが、どこかセピア色のような、鼻の奥がツーんとなりそうなノスタルジックな思いがこみ上げてくる作風になっています。

当時の報道資料はもとより、関係者に取材を重ねて作り上げたというだけに、制作者の熱い思いが伝わってきます。

主演のユ・オソンは『友へチング』に引き続きクァク・ギョンテク監督とタッグを組みました。ハングリーなプロボクサーを演じるにあたって、6ヶ月ものトレーニングを経て見事なプロボクサーの身体を作り上げました。

ヒロインにはオーディションで300人の中から選ばれた新人のチェ・ミンソが扮しています。

ボクシングにかけた一人の男の熱い生き様を感じてください。

tashiro

貧乏から脱しようと必死でボクシングに取り組む、ユ・オソンの愚直で純粋な表情を見ているだけで泣けてきます。特にドゥックがボクシングの世界で成功し、田舎に凱旋帰郷して後輩の子供たちに演説をする場面には、どん底の人生から一生懸命に生きて成功した男の感慨無量の気持ちが胸に染みて目頭が熱くなりました。
あと、ボクシングジムの館長が随所にいいことを言ってました。館長はキム・ドゥックにとってはトレーナである以前に父のようであり、恩師であるわけですが、彼の発する言葉の数々に教えられながら人間としても成長していったんだなあということが感じられました。