映画解説

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タイトル 1942奇談
韓国公開年 2007年
出演者 チン・グ キム・テウ キム・ボギョン
監督 チョン・ボンシク チョン・シク

【 映画紹介 】

『1942奇談』は、日本占領下の京城の病院を舞台に巻き起こる愛の悲劇の物語です。

混乱と魅惑的な風俗が共存する1942年の京城。新式の病院に美しい女子高生の遺体が運び込まれ、医学実習生はその遺体に魅せられていきます。それと相前後して交通事故で一人生き残った少女が悪夢にうなされるのを、若き天才医師が助けようと情熱を傾けます。そして妻に影がないことに気がついてしまう、留学帰りの優秀な医者夫婦。病院を舞台にした3組の悲劇が描かれます。

チョン・ボンシク、チョン・シクという従兄弟同士の共同監督による作品で、死んだ人間の魂と生きた人間との愛が引き起こした恐怖の物語を、時代考証と映画的な想像力を駆使し、古典映画の形式美と様式美を生かした魅惑的な映像で表現しています。

観客をいたずらに怖がらせるだけの従来のホラー映画と違い、登場人物たちの孤独と悲しさを見せることに重点を置いて、恐怖とラブストーリーの切なさを伝えることに成功したとの高い評価を受け、韓国映画評論家協会賞、釜山映画評論家協会賞、ディレクターズカット賞で新人監督賞を受賞しました。

キャストは、『母なる証明』のチン・グ、『キッチン~3人のレシピ』のキム・テウ、『スポットライト』のキム・ボギョンらが出演。黄金撮影賞でチン・グが新人男優賞を受賞しました。

tashiro

チン・グは実は個人的にホラー映画が苦手なのだそうです。でも『奇談』のシナリオを読んだとき、ホラー映画というよりもラブストーリーだと感じたそうで、出演を決めたのだとか。でも撮影のとき、女子高生の遺体は実際の俳優が演じているとはいうものの、動かず、表情もない死体が相手役だけに、チン・グは自分独りで演技を導かねばならず、演技の悩みを共有する人がいなくてストレスもかかり苦労したそうです。肉体的な忍耐は『卑劣な街』で学んだけれど、精神的な忍耐力はこの『奇談』を通して学んだと語っていました。