映画解説

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タイトル 映画は映画だ
韓国公開年 2008年
出演者 ソ・ジソブ カン・ジファン ホン・スヒョン コ・チャンソク
監督 チャン・フン

【 映画紹介 】

『映画は映画だ』は、ヤクザと映画スターという交わることのなかった世界の二人の男が共に映画を撮るようになり、それぞれの人生が交差していくという人間ドラマです。

ヤクザのように暴力的な荒々しい俳優(カン・ジファン)は、撮影のたびに共演者をボコボコに殴ってしまい、ついには誰も共演しようといる人がいなくなってしまいます。そこで、偶然出会ったヤクザ(ソ・ジソブ)が実は俳優を夢見ていたことがあると知り、共演しないかと話を持ちかけるのでした。ヤクザが引き受けるに当たって出した条件は、「嘘のアクションはできないので撮影でもリアルに殴り合う」というもの。それはどちらかが倒れるまで戦い続けるということを意味していました。映画撮影と並行して二人それぞれの身に事件が起こっていくのですが、果たしてこの二人の共演が二人の人生にどんな結果をもたらすのでしょうか。

韓国映画界の鬼才といわれるキム・ギドク監督が原案と制作を手がけ、キム・ギドク監督の下で助監督をしていたチャン・フン監督がキム監督の原案に1年かけて脚色を施し監督デビューを果たしました。それだけに、単なる設定の面白いアクション映画ではなく、ギラギラしたり、人間の残酷さをも感じさせる人間ドラマになっています。チャン・フン監督は韓国映画評論家協会賞で新人監督賞を受賞しました。

主演は、ソ・ジソブ、カン・ジファンという、共に1977年生まれの同い年のトップスターの共演。ヤクザを演じたソ・ジソブが、セクシーで、寡黙ながらも画面を圧倒するカリスマを発揮し、対する映画スター役のカン・ジファンは、傍若無人で傲慢な嫌な奴なんですが、ヤクザと触れ合うことでだんだん変化が出てくるという難しい役どころを緩急を駆使した演技で表現しています。

ソ・ジソブとカン・ジファンは3つの映画賞で新人男優賞を共同受賞したほか、ソ・ジソブは韓国映画評論家協会賞で男優演技賞、カン・ジファンはこの作品で全部で新人賞5冠を獲得する快挙を成し遂げました。

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ソ・ジソブにとっては兵役で3年近く仕事を休んでいたのでずっと演技がしたいと願ってきただけに、俳優になりたかったヤクザの気持ちにすごく共感できたそうです。
一方のカン・ジファンの方も、俳優は仕事中はたくさん愛を受けるけれど、撮影が終わると、自分なのか、役なのかどっちつかずの状況に置かれてしまってとても孤独。だから劇中の映画スターが味わう寂しさにとても共感できたと語っていました。

※青龍賞、釜山映画評論家協会賞、百想芸術大賞の3つで共同で新人賞受賞。