映画解説

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タイトル 愛サラン
韓国公開年 2007年
出演者 チュ・ジンモ パク・シヨン チュ・ヒョン キム・ミンジュン
監督 クァク・ギョンテク

【 映画紹介 】

『愛サラン』は、初恋の女性を守り抜こうと誓った男の純情が悲しいラブストーリーです。

転校生の少年が一目ぼれした美しい少女。7年後に再会したとき、彼女は不幸な境遇に身を置いていました。そして少女が母親と兄を亡くした日、彼は彼女のことを一生守りぬくことを誓います。男は愛する女性を助けるために刑務所にも入り、別々の人生を歩むようになった2人でしたが、それから7年後、彼女は、彼に新たな人生を与えてくれた恩人である会長の女として再び彼の前に現れたのでした。

これまで『友へチング』『タイフーン』など男たちのドラマを描き続けてきたクァク・ギョンテク監督が、初めてラブストーリーに挑んだ作品です。

『愛』というタイトルではありますが、そこから連想されるような甘ったるい映画ではなく、クァク・ギョンテク監督らしく、むしろ殺伐と壮絶な世界に身をおいた男の、荒々しいけれど純な愛を見せています。その野暮ったいほどの純愛ぶりは、日本でいうと『泥だらけの純情』のような映画を髣髴させ、韓国でも、そういう愛はいまどき古臭いのでは…といわれながらも、監督の、力強くエモーショナルな演出で、見る者の心を揺さぶり、200万人を超える観客を動員するスマッシュヒットとなりました。

10年以上の役者人生において、初めて運命と感じられる映画に出会ったというチュ・ジンモが、男らしくも純な心を持ち合わせているタフな男を魅力的に演じています。ヒロインには、ドラマ『男の物語~スリングショット』などのパク・シヨンが抜擢され、韓国映画評論家協会賞の新人女優賞に輝きました。キム・ミンジュンは、強烈なキャラクターを演じてみたいという思いとクァク・ギョンテク監督の作品に是非出演したいという希望が実り、今回の大変身となる野卑な悪役が誕生し、釜山日報のプイル映画賞の助演男優賞を受賞しました。作品自体もハワイ国際映画祭監督賞と観客賞を受賞しました。

tashiro

韓国の男性に聞いた話ですが、韓国男性は、人生において、命をかけて人を愛したことがあるといえることが誇らしいことであり、そこに人生の生きがいを感じるのだそうです。そう思うと、この主人公の生きザマも納得できますね。
台本段階では、こういう作品はいまどきスタイルじゃないのではといわれてしまったクァク・ギョンテク監督が、『友へチング』や『タイフーン』で親交のあったチャン・ドンゴンにこの脚本をどう思うかモニターをお願いするために渡してあったのだそうです。それを、遊びに来ていたチュ・ジンモが見つけ読んでみたところ、主人公が、「男らしくありながら女性に尽くして、おのれを犠牲に出来る男」というまさに自分がやりたかった役だったということで、読み終えてすぐにチャン・ドンゴンに「早く僕が演じたがっていると監督に伝えてくれ」と訴えて、そんな経緯でキャスティングが決まったそうです。