映画解説

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タイトル 愛なんていらない
韓国公開年 2006年
出演者 キム・ジュヒョク ムン・グニョン ト・ジウォン イ・ギヨン チン・グ
監督 イ・チョラ

【 映画紹介 】

今回お送りする『愛なんていらない』は、盲目の少女と、彼女の遺産を狙うホストという、愛を信じず、愛など必要ないと思っている男女が出会い、愛に陥っていくラブストーリーです。

巨額の借金を背負う羽目になった最高級クラブの人気ホスト、ジュリアン(キム・ジュヒョク)。そんな彼の元に、事故で亡くなったばかりの子分の実家の弁護士から、遺産相続の電話がかかってきます。そこで彼は、莫大な遺産を相続する盲目の少女(ムン・グニョン)の兄に成りすまして、その遺産を狙うことを企むのでした。

2002年に日本で制作された、広末涼子と渡部篤郎主演のドラマ『愛なんていらねえよ、夏』を原作とした映画です。全10話のドラマを韓国的な情緒を織り込み、2時間の映画に再構築しました。

この映画が長編デビュー作となるイ・チョラ監督は、それまでCMやミュージックビデオで卓越した映像美、演出力を見せてきた人です。その映像センスを発揮し、雪原の白、茶畑の緑、桜の花のピンクなどなど、印象的な美しい映像の中で2人の心が近づいていく過程を見せていきます。

子役時代から名をはせていたムン・グニョンが、少女から大人の女性となって成熟した女性の演技を見せるということが話題になりました。またキム・ジュヒョクもそれまで柔らかで飾らない温かみのある男性を演じることが多かったイメージを一新し、金のためなら偽りの愛も平気で誓えるような非情で冷たい危険な男を魅力的に演じています。『卑劣な街』や、『オールイン 運命の愛』でイ・ビョンホンの少年時代を演じたチン・グもいい味を出しています。

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いかがでしたか? 冒頭とラストの雪原の場面は、札幌でロケが行われました。そして茶畑はドラマ『夏の香り』でおなじみとなった宝城(ポソン)の茶畑ですが、監督は映像的になんとしてもこの茶畑の中に家を建てたいとこだわって、それを実現するために、畑の所有者らを説得するのに1年もかけたそうです。その甲斐あって、世間と距離を置き、孤独で閉じこもったヒロインのイメージがその屋敷に見事に表現されていました。