韓流ソムリエ 田代親世の韓国エンタメナビゲート

『私の頭の中の消しゴム』は、若年アルツハイマーになった女性と彼女を愛する男性の、悲しくも美しいラブストーリーです。２００１年の日本のテレビドラマ『ピュアソウル～君が僕を忘れても』を原作にして映画にリメイクした作品です。

工事現場で働く建築家志望の大工とお嬢様。世界の違う二人は運命的に出会い惹かれあっていきますが、女性の方は不倫の愛に傷ついた過去があり、男性には母親に捨てられた記憶から愛が信じられないという心の傷がありました。それでも二人は葛藤の末、結婚し、幸せな新婚生活を始めるのですが、女性の方が若年性アルツハイマーに侵されていて少しづつ記憶が失われていくと宣告されるのでした。

脚本と監督は『サヨナライツカ』『戦火の中へ』などのイ・ジェハン監督。若くして全てを忘却していくという重く深刻なテーマを取り上げながら、印象的なセリフと美しい映像で二人の愛を幻想的に綴っていきます。タイトルの『私の頭の中の消しゴム』とは、原作ドラマにも映画の中にも出てくるヒロインの「私の頭の中には消しゴムがあるの」というセリフからつけられています。

前半は恋する男女のトキメキと情熱に見ていて胸が高鳴り、中盤からは、突きつけられたつらい現実を前にして、愛するがゆえに下した二人のお互いの決断が切なく胸を打ちます。

主演は、韓国映画界のカリスマ、チョン・ウソンとラブストーリーの女王ソン・イェジン。チョン・ウソンは、野性的でぶっきらぼうな男性をセクシーに演じて多くの女性たちを虜にしました。韓国で大ヒットし、日本公開された韓国映画の中でも最高の興行収入を記録した作品です。