映画解説

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タイトル ちりも積もればロマンス
韓国公開年 2011年
出演者 ソン・ジュンギ ハン・イェスル シン・ソユル イ・サンヨプ
監督 キム・ジョンファン

【 映画紹介 】

『ちりも積もればロマンス』は、ソン・ジュンギ主演、お金がなくて恋愛できない青年と、お金が惜しくて恋愛しない美女のロマンチックラブストーリーです。

なかなか就職できず、親から小遣いをせびって何とか生活している万年ニートの青年(ソン・ジュンギ)は、向かいの屋根部屋に住む風変わりな謎のドケチ女(ハン・イェスル)と出会います。彼女の哲学は、宗教・病気・恋愛はお金が惜しくてできないという確固たるもの。そんな彼女から、2ヶ月で500万ウォンを稼ぐノウハウを教えてあげる代わりに無条件に自分に従うことという交換条件を出され、青年は彼女とタッグを組んで、お金儲けのノウハウを学びながら、たくましくもガシガシお金を稼ぐようになっていきます。果たして、ちりも積もればお金もたまるように、恋も芽生えていくのでしょうか…?

これがデビュー作となる新人のキム・ジョンファン監督が脚本も手がけた作品で、最近の韓国の20代の若者が置かれている、‘就職難とそこからくる貧しさ’という厳しい状況を赤裸々ながらもユーモアとウィットをいれこんでロマンチック・コメディーに仕上げています。

ここでのソン・ジュンギは、貧乏なフリーター青年に扮して、女性を落とすためにあくせくしたりする、情けなくもキュートな男子になっています。またハン・イェスルも必死に強がって生きているさまが切なくてかわいいです。ソン・ジュンギにハン・イェスルという主演の二人とも華やかな顔立ちで派手な格好が似合いそうなのに、映画の中では真逆の状況にいるというギャップが面白いです。

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この映画で描かれているのは貧しい20代の若者の姿でした。韓国では、1970年代後半から80年代前半に生まれた若者たちは、97年の経済危機のあおりを受けて、大学卒でも非正規雇用に追いやられ、平均給与が88万ウォン、約8万円であることから「88万ウォン世代」と呼ばれています。キム・ジョンファン監督いわく、彼らは、就職、恋、結婚という3つのことをあきらめる世代と言われていて、それを映画で面白く撮ってみたかったというのがこの映画のスタートだったそうです。