映画解説

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タイトル 受取人不明
韓国公開年 2002年
出演者 ヤン・ドングン パン・ミンジョン キム・ヨンミン パン・ウンジン
監督 キム・ギドク

【 映画紹介 】

1970年代、アメリカ軍が駐屯するある農村を舞台に、戦争が間接的にもたらす悲劇を描いた作品です。

兄のいたずらのせいで片方の目が白濁し、そのコンプレックスで心を閉ざしている少女ウノク(パン・ミンジョン)。そしてそんな少女に思いを寄せる純粋な青年ジフム(キム・ヨンミン)。黒人の父親と韓国人の母親との間に生まれたハーフの青年チャングク(ヤン・ドングン)は村人から疎まれる存在でしたが、ジフムにだけは友情を感じていました。

この3人を軸に、アメリカに戻った黒人の夫が自分と息子を迎えに来てくれると信じて手紙を書き続けてるものの、いつも受取人不明で戻ってきてしまうチャングクの母親(パン・ウンジン)。チャングクの母にただひとりやさしさを見せる、犬商人のケヌン(チョ・ジェヒョン)。こうした社会から虐げられている人々を複合的に絡み合わせ、痛々しさに満ちた人間の悲しみを見せていきます。

監督はベネチアとベルリンとで監督賞を受賞し、今や世界的な存在となったキム・ギドク監督の作品です。

ハーフの青年に、『勝手にしやがれ』『風のファイター』などのヤン・ドングンが扮し、

片目の見えない少女役に1000倍の競争率を突破して映画デビューしたパン・ミンジョン、陰気な青年の役に、『春夏秋冬そして春』にも出演しているキム・ヨンミンが扮しています。このほか『悪い男』『ピアノ』のチョ・ジェヒョンをはじめとした演技派俳優たちが脇を固めています。

 

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最後のチャングクの亡くなり方が衝撃的でしたが、これは、混血児という点で、全身を土に埋もれさせることができなかったという彼のアイデンティティの問題と関連づけてあのようなかたちにしたのだとキム・ギドク監督は語っていました。
実はこの混血の青年は監督の友人がモデルとなっており、彼は混血児として生きていく事を放棄して自殺してしまったそうです。また片目を失った少女も実際に近所に住んでいた人で、気の弱い男性が監督の姿と重なっており、70%が事実に基づいて描かれた作品だということで、それだけにより痛みを感じますね。