映画解説

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タイトル 子猫をお願い
韓国公開年 2001年
出演者 ペ・ドゥナ イ・ヨウォン オク・チヨン イ・ウンシル イ・ウンジュ
監督 チョン・ジェウン

【 映画紹介 】

20歳の5人の少女たちが社会に出て感じる希望と挫折。その繊細な心の揺れ動きを描いた作品です。

空港のある町、仁川の商業高校を卒業した仲よしの5人の少女たち。一人は稼業を手伝いながら自分探しをし、一人はキャリアウーマンを夢見て証券会社に就職、一人はデザイン画を学ぶ夢を持ちながら経済的困難にあり、双子の姉妹は自分たちの作ったアクセサリーを売って暮らしている。そんな彼女たちの前に一匹のネコが入り込んできます。

将来に対する漠然とした不安や期待を抱えながら、夢に向かって意欲を燃やすものの、なかなかうまく行かない現実。そんな社会の壁にぶち当たりながら、自分の進む道を見つけていこうとする物語で、韓国のごく一般の女性が置かれている状況が透けて見えます。

主演は、この演技で数々の演技賞に輝いたペ・ドゥナと、いくつもの新人賞を受賞したイ・ヨウォン。モデル出身で、これが映画デビュー作となるオク・チヨン、『威風堂々な彼女』などにも出ている双子のイ・ウンシル、イ・ウンジュです。

20歳の女の子たちが持っている感受性が、当時32歳の女性監督の手によってやわやわと描かれています。

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あの二人はいったいどこに旅立ったのでしょうね。少女たちにどうか明るい希望が訪れてほしいと願わずにはいられません。
5人の少女たちの家族はそれぞれに複雑ですが、チョン・ジェウン監督は、家族の中での女性の役割といったものから自由になりきれない韓国で、様々な家族像の中で少女たちが感じている息苦しさや寂しさ、女性たちの位置づけなどを描きたくて、わざとバラエティーを持たせた家族設定にしたそうです。
また、映画はインチョンという場所が舞台になっていましたが、ソウルのそばにありながら、ソウルほどは発展しきれないというどこか宙ぶらりんの町というイメージで、その存在感と、ネコという保護が必要な存在性がこの少女たちの置かれている状況をうまく表現するのに役立っていました。