映画解説

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強力おすすめ

タイトル シュリ
韓国公開年 1999年
出演者 ハン・ソッキュ キム・ユンジン チェ・ミンシク ソン・ガンホ
監督 カン・ジェギュ

【 映画紹介 】

『シュリ』は、南北分断の悲劇を北朝鮮の女スパイと韓国の諜報部員の悲恋に集約して描いた、アクション・ラブストーリー大作です。日本に韓国映画ブームを呼び込んだ記念碑的作品で、この映画の登場は、韓国映画の力を世界に知らしめただけでなく、その後の韓国映画の流れを劇的に変える役割を果たしました。

何人もの要人を暗殺している北朝鮮の女性工作員イ・バンヒと、彼女を追い続けている韓国の情報部員ジョンウォン(ハン・ソッキュ)。プライベートでは恋人との結婚を1か月後に控えていますが、そんな時、北朝鮮から第8特殊部隊のメンバーが韓国入りし、驚異的な破壊力を持つ液体爆弾を奪い取り、テロ活動を始めようとしていました。果たして彼らの目的は…?ジョンウォンは彼らのテロを防げるのでしょうか…。

タイトルになっている「シュリ」は朝鮮半島にだけ生息するという淡水魚の名前で、映画の中では作戦名として出てきます。

主演のハン・ソッキュは韓国のトップスター。抑えた演技で男の悲しみを表現しています。北朝鮮の部隊長役のチェ・ミンシクはこの作品でブレイクし、韓国のゲーリー・オールドマンとも評されました。ヒロインを演じた新人のキム・ユンジンも一躍注目を浴びる存在になりました。今では韓国映画界の看板スターとなっているソン・ガンホが主人公の同僚役で登場します。

アクションシーンには手に汗握り、ラブシーンではうっとりさせられ、ラストは言葉では言い尽くせない哀しみが胸をふさぎます。民族の悲劇を背景に、様々な要素をうまく盛り込んでエンターテイメントに仕上げるカン・ジェギュ監督の手腕はさすがです。

tashiro

韓国は、いまだ分断国家という緊迫した状況下にあるせいか、緊張状態を描き出すのはやはり上手いですね。わかりやすさ、ストレートさ、愛の哀しさといった韓国エンタメの基本はすべてここにあるという気がします。
また韓国映画を見ていてよく感じるのは、その余韻の長さです。『シュリ』でもクライマックスの後のラストの部分を丁寧に描くことによって、歴史のうねりに犠牲となった一人の女性の悲しさがじわじわと胸に迫ってきます。
ラストシーンに出てくるのは済州島で、二人で座って海を見つめたベンチは「シュリベンチ」として名所になっています。